ソウル本屋:POST POETICS
ポストポエティクスは2006年に図書流通会社としてスタート。海外の図書を韓国内に流通させてきた。チョワン(조완)代表は元々ファッションの勉強をして就職したが合わずに1年で退職、そして日本に旅行に来た。その時にたくさんのファッションや写真、アート関連の本を見ることになり、それから何度も東京を訪れるようになる。行きつけの本屋はアートバードブックスだった。今は閉店してしまったその本屋の主人との出会いや、BACH(バッハ・本のキョレーション会社)に影響を受け、本をキュレーションする会社を始める。
資金がなかったため始めは12冊の本で弘大で開業し、本は中古書店から入手するか、知人から譲ってもらったものを売った。海外の独立出版雑誌(ZINEなど)やCD、LPも扱い、友人の写真家の展示も開催した。そして2009年に現在の漢南洞に引っ越す。
元いた弘大は学生の街だったが、新しい場所漢南洞は客層も変わり、顧客が求める本も変わったため、ニーズに合わせて輸入する本も変えた。
POST POETICSは海外のアートブックを中心に扱うと書いたが、正直日本で買えるものが多いのではないかという印象を受けた。当然韓国に住んでいる人にとってはセンス良い洋書を見ることができる本屋は貴重だ。しかし私は外国人であり、POST POETICSを訪れたとき、わざわざここで買わなくてもという考えがよぎった。が、帰国してソウルの本屋についてこうして書きながら、「あるかもしれないけど、ないかもしれない本」「あるかもしれないけど出会えない本」について考えるようになった。日本のある本屋にあるかもしれないけれど、100%あるとは限らない。それと日本のある本屋にあったかもしれないけれど、私が見つけることができない本。というのがあるはずだ。つまり、「本との出会い」。人との関係もそうであるように、本にもタイミングや縁があるということ。それと今までの経験から言うと、出会った時に買わなかったものは後で後悔する。
だから、日本でも買えそうかどうかなんていうのは全くナンセンスな話であり、それがどこであろうとも良いと思った本はその場で買うのがよいということだ。
いま現にPOST POEICSで見た本で気になって毎日のように思い出す本がある。おそらく日本で探そうと思えば探せるだろう。だけど私は、初めに出会わせてくれたことに対して、次にPOST POETICSに行ってみてまだあればその時には絶対に買わなければいけないと、そう思っている。
セレクトされた本を売る本屋とは、そういうことだ。ここでしか出会えない本があるかもしれないという可能性や楽しみ。
ソウルには450軒の本屋があるという。そんなに必要なのかと思ったりするが、コンセプトの違う小規模書店がたくさんあるということは、その分多くの人がその人に合う本に出会える確率が上がるということに他ならない。
↑これは駅から来ると反対側の建物外観。下左がPOST POETICSだ。こう見ると1階に見えるのに、地下3階表記。これはどういうことかというと、建物反対側と写真で見えている側で地面が斜めになっているためだ。つまり正面ではPOST POETICSは地下だがこっち側では1階、、、しかも、こっち側から入れば問題ないが、正面から建物に入る場合はD&DやMMMGを見て地下3階にくるとFREITAGがある(下記に記載)。FREITAGだけがあるので店内通過して一度外へ出てから隣のPOST POETICSへ。韓国は建物の造りが複雑というか「そのまま」というか…
上記POST POETICSのある建物には他にも良い店が入っているので紹介したい。
※下記の店とPOST POETICSは営業時間が違うので注意してください。
D&DEPARTMENT SEOUL
[地下1階]
日本にあるD&Dでおなじみの、ナガオカケンメイ氏による、都道府県を1つ1つ紹介する媒体D design travelの実店舗。日本で長く使われているもの、また地域特有の商品をセレクトし取り扱うライフスタイルショップ。その海外1号店としてソウルにできた。日本のものだけでなく、韓国の生活雑貨も取り扱っている。ディスプレイは日本のD&Dと同じスタイルだ。
MILLIMETER MILLIGRAM
[地下2階]
ここは私にとって特別なショップだ。私がはじめて韓国のデザインが面白くなっていると感じたのはこのMMMGでだった。5年くらい前だっただろうか、新沙洞のカロスキルというお洒落な服屋やカフェが立ち並ぶ通りでMMMGを発見した。ステーショナリーや雑誌、FREITAGを扱っていて、ステーショナリーのデザインはどれも新鮮で独創的だった。そのMMMGはカロスキルから撤退し、いまは漢南洞と南大門だけだが、POST POETICSと一緒の建物にあるこのMMMGは久しぶりに訪れても相変わらずセンスの良いステーショナリーと、本や雑誌を置いていた。日本の1616 aritaの陶器もあった(この食器類ほんとうに素敵)。自分用にも友人用でも素敵なお土産を買いたければこころ推薦する。
INSTAGRAM:https://www.instagram.com/mmmg_millimeter_milligram/
↑ MMMGで買った本。Magazine BのAce Hotel特集と、アングラフィックス出版デザインのFREITAGの本。
おまけで、この建物へ行くまでにLE LABOがある。私の大好きな香水ブランドだ。東京では伊勢丹と代官山に路面店がある。香水は税関で量が決まっていると思うが、日本より安く帰るなら漢南洞の路面店で買うのも楽しいかもしれない。
個人的には漢南洞、とても好き。
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