Antonio Tabucchi
アントニオ・タブッキ
1943年9月23日イタリア ピサ生まれ
2012年3月25日ポルトガル、リスボン没
小説家であり、フェルディナンド・ペソアの研究、翻訳家でもあった。デビュー作は『イタリア広場』(1975年)。代表作『インド夜想曲』(1984年)は映画化された。
ポルトガルの作家フェルナンド・ペソアの評論や作品の翻訳を行っている。タブッキが最初にペソアの作品に接したのは、1960年代、フランスのソルボンヌに通っていた時だった。イタリアに戻ると、ペソアの詩をより理解するためポルトガル語学んだ。
大学時代、叔父の図書館で出会った本の著者の足跡を訪ねて、ヨーロッパ中を旅して回った。パリを訪問中、リヨン駅の近くの書籍売り場でアルバロ・デ・カンポスの『煙草屋』という詩集を見つけた。カンボスはフェルナンド・ペソアの異名であった。この本との出逢いにより、以後20年に及んでペソアとポルトガルに深く関わることになった。
(Wikipedia要約)
私の中でタブッキの作品は、幻想やたんなる夢のお話ではなく、
もっと不思議な記憶の物語のような印象だ。
「高熱がありながら町をさまよっていたんだけど
それを書き留めようとしても記憶の断片しかないんだ。
あれはいつどこで誰に聞いた話だったか。
それとも実際に起こったことだったのだろうか。」
そんな印象。原書だとどうなのだろう。
須賀敦子氏の翻訳が無駄な装飾のないすっきりとした訳だからそうなのか。
しかし訳が「装飾のないすっきりとした訳」ということは
原文の文体だって同じはずである。しかし須賀さんの翻訳の素晴らしさよ。
特にお気に入りは「逆さまゲーム」と「インド夜想曲」だ。
例えば「インド夜想曲」。主人公の男はボンベイ・マドラス・ゴアとインドで誰かを「探す」旅をしながら人と出会って通り過ぎていく。しかし本当に「誰か」を探しているのか、もしかしたら探してなどいないのかもしれないのだ。むせかえるような独特な匂いまでも感じられるようで、出会うエキゾチックな人々に幻惑されそうだ。最後に一気に語られるけれど、それが種明かしなのか、そうでないのか、、、、結局霧がかかったようではっきりと全体が見えない。そんな現実と非現実が曖昧な不眠の、旅の、静かな大人の物語。
「タブッキは海底二万海里のネモ艦長だ」と訳者あとがきで
須賀敦子氏が書いていた。ぜひ読んでみたいと思う。
あとはやっぱりペソアは読まなければいけないだろう。
何度読んでも新しく読むように感じることができるであろうアントニオ・タブッキ。
出会えて幸せな作家の一人だ。
日本語訳されている作品のタイトルを入れてみた。
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