これもまた翻訳なり。
翻訳の勉強をしているので、翻訳や言語について書かれた本を
たくさん読むようにしています。直近で読んで面白かった本をご紹介。
『谷崎潤一郎と異国の言語』野崎歓:著 (フランス文学者、翻訳家)
谷崎作品に見られるエキゾティシズムと異国言語の関係について書かれた本です。
いかに異国に憧れ、いかに影響をうけたか。
関西への移住による東京弁から関西弁への翻訳について。
フランス語との関係を「独探」、中国は「鶴唳」、
インドは「ハッサン・カンの妖術」とともにその関係を説いていく。
この本の切り口とアイデアは素晴らしいと思いました。
この本だけで谷崎と異国言語の関係の全ては語れないだろうけど、
谷崎の作品をこのような視点から読むこともできるのだなと、大変面白かったです。
はじめは図書館で借りて読んだのだけど、もう一度しっかり読みたくて購入。
「独探」、「ハッサン・カンの妖術」収録の『潤一郎ラビリンス 6』も一緒に購入したので
合わせて再読します。楽しみー
異国から受けた影響や感じたエキゾティシズムを、
谷崎フィルターにかけてどのように表現したのか、日本語にしたのか。
外国語を言葉通り「翻訳」するとかどうとかの話ではなく。
その「感じ」をどう表出させるのか、それもある意味「翻訳」ではないのか。
あぁ、翻訳と一口に言っても入り口はとても狭く、
なかはぼっかりと広いんだな、、、、
だから面白いんですけどね翻訳!
とてもシュールで面白かった箇所は、
中国古典の教養ある芥川は、実際に中国に行ってら辟易してしまったそうで、
初めての海外体験となった谷崎は中国でずいぶん感銘を受けたそうだ。
著者の野崎歓さんの翻訳は『フランス組曲』が好きです。
あと氏の翻訳に関する書籍『翻訳教室』も、本や物語への愛情に溢れていて
とても良かったです。オススメ。
『谷崎潤一郎と異国の言語』(中公文庫)と
『潤一郎ラビリンス 6』(中公文庫)の目次
0コメント