ソウル本屋:홍익문고

홍익문고(弘益文庫)

住所:서대문구 창천동18-49

営業時間:9時〜21時



ここも大好きな本屋で、留学中何回か足を運んだ。



私が홍익문고(弘益文庫)を初めて訪れた日は、今にも雪が降り出しそうな1月半ばの寒い夜だった。紺色の看板が目印のその書店は、地下鉄2号線の新村駅2番出口をあがるとすぐ目の前に現れる。透明ガラス扉の丸いとっ手を押して店内に入ると、何か探している人、目的なくただ何となく流し見している人がちらほら。すぐ外は延世大学通り。若者たちや、路上パフォーマンスの音などで騒がしい。そのざわめきを店内で微かに感じながら、静かすぎず適度に本に集中できる環境だ。홍익문고は地下1階、地上4階まである。店の前にはピアノが置いてあり、誰でも演奏できるようになっている。

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1957年に박인철(パク・インチョル)さんがリアカーで本を売り始めた。本の下に果物を入れ一緒に売っていた。奥さんと貧しい時代を共にしながら50年間、町のなくてはならない本屋としてその場所にあり続けてきた。そして2009年、某大企業で16年間勤務し、部長まで昇進した息子の박세진 (パク・セジン)さんが会社を退職し本屋を継いだ。


2017年の今年は60周年にあたる記念の年である。韓国では数少ない老舗で、もう30年近く勤務されている方もいる。この홍익문고は昔から若者の待ち合わせ場所として、出会いの場所としても愛されてきた。2012年には地域開発による廃業の危機もあったが、市民団体や近隣の大学生の活動により生き残った。


延世大学、梨花女子大学、西江大学、弘益大学の有名人気大学が隣接する学生街にある書店であるが、年々本を購入する人が減り10年前より20%も減ったという。


1階は詩集や小説などの文芸書を中心に置いてある。ベストセラーのコーナーもあるが、なんといってもこの書店の"책따세 추천도서"コーナーで本を選んで欲しい。ここは「本であたたかい世界を作る推薦図書」をコンセプトに書店のオススメが陳列されている。ベストセラーのように販売部数で本の順位を決めるのではなく、本当に良い本を伝えるのがこの書店のポリシーである。


私は小規模書店を中心に本屋めぐりをしていたが、ここはまたそういった本屋とは違う、東京にも昔あったような街の新刊書店だ。だからZINEや自費出版のような奇抜な本があるわけではない。しかし詩集コーナーは充実しているし、文芸誌もまとめて置いてあり、小説にいたっては国内外揃えてある。旅行記や日常のエッセイのコーナーもあって、最近の韓国文学をひとめで知ることができる本屋である。壁の棚以外はほぼ面陳され本の顔が見やすく、天井の高さ、丁度いい狭さも気に入っている点だ。それと気楽に本を選べる「気」のようなものが流れているように感じるのは私だけだろうか。レジで会員ステッカーをくれるが、バーコードになっていて会計の時に提示するしくみだ。これをキャッシュカードに貼っておけば店員さんがすぐに気づいてくれる。


現代表が誓う"100年書店 弘益文庫(홍익문고)"として、これからも地域の文化の中心として永くそこにいてくれることを、私もいちファンとして願う。


本屋を出て、来たときとは逆の方向へむかおうと歩き出してすぐに、本を読む人の像があった。そこには『文学の道』という題で「この場所は、私たちの近現代を代表する作家たちの文学の心を称え、時代精神と文化が息づく空間へ再び生まれる新村の、新しい始まりを伝えようと西大門区が造成した文学の道です」とあり、その下に作家の名前が並んでいる。尹東柱、崔仁浩、金南祚、高銀、李 御寧、鄭 玄宗、李根培、金 承鈺、柳 岸津、趙 廷来、姜 恩喬、朴 範信、鄭浩承、都鍾煥、郭在九

↓この日買った本。

本あるいは

本、装幀、作家のことなど。 それから韓国留学記録や旅行について。

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