ソウル本屋:witncynical, Frente!
さて、いよいよ私が思入れの強い本屋を紹介する時がきました。
私がソウルの本屋の中で一番親しい友人となった、詩集だけを扱った本屋witncynical、そして同じ空間で運営しているしている本屋Frente!。さらにその空間にはCafe Pastelが併設されているので、詩集から一般書籍を見てカフェでコーヒーやビールを楽しめ、ひとつの空間で3つの店舗がある面白いしくみです。この3店舗は最初は新村のみで、そして最近合井に2号店をオープンしました。
このwitncynicalは毎週木曜日に詩人を読んで、Cafe Pastelのスペースで朗読会を開催しているし、Cafe PastelはPastel Schoolと称して、詩の書き方や編集者のなりかた、カリグラフィー教室などを開催。もちろんFrente!も協力。Frente!も本だけではなくレコードや文房具などのグッズも販売しており、本を読む自分だけの行為から人と共有し、また自分の中へ違うカタチで取り込む。そんな風に本を二次元から四次元的に体験する。それが叶う空間です。
↑ 二号店。
witncynical
시집서점 위트 앤 시니컬
詩集の本屋[ウィットンシニカル]
[ 新村店 ]
住所:서울시 서대문구 신촌역로 22-8, 3F
営業時間:11時〜23時
[ 合井店 ]
住所:서울시 마포구 독막로5길 26 2F
営業時間:12時〜23時
INSTAGRAM : https://www.instagram.com/witncynical/?hl=ja
ウィットンシニカルの店主 유희경(ユ・ヒギョン)さんは詩人です。もともと編集者として出版社に勤めていましたが、退職して本格的に詩人としての活動をスタートさせながら詩集だけを扱う本屋をはじめました。店名も詩人らしく言葉のユーモアがあり、お店のロゴやオリジナルのメモ帳もデザインが素敵です。
とにかく私の住まいに近く、空間も開放的で生きやすく親しくさせてもらいました。朗読会に招待してくれたり、日韓の出版の話や言語習慣の違いなど楽しい話は尽きませんでした。
はじめて行った日は、ツイッターでヒギョンさんが「雪がふって客がいない」ようなことをつぶやいているのを目にし、なぜか行く気になったのでした。店に入るとすぐ声をかけてくれて、並んでいる本について説明してくれたりとても開けた性格の人で、ソウルの生活にも慣れない中でそのように韓国の人と本の話ができることに、悦びを感じました。
詩について詳しく、元編集者でもあるので本につても詳しく、リベラルな考えの持ち主であり暖かい人です。それから心よく詩集を推薦してくれます!これは嬉しかったです。(いつどちらの店舗にいるのか把握できず)
↑ この写真は借り物。怒られたら消します。というのはいつも話に夢中で店内の写真撮り忘れます(泣 上は1号店(新村)、下は2号店(合井)
↑ 2冊ともヒギョンさんの詩集。上は「文学と知性社」という出版社から出ている詩人選です。ヒギョンさんはこの詩人選シリーズ393冊目。下の詩集は「朝の月」というひとり出版社から最近出したもの。このデザイナーにも会わせてもらいました。とても素敵なデザイン。緑の丸がキラッとひかります。これはタイトルを表現していておそらく木かと。ヒギョンさんの詩は叙情的で好きです。いまゆっくり読んでいるところですが、詩は母語でも難しいのに外国語はさらに難しく感じます。
↑ 朗読会に。生まれてまじめて朗読会に行きました。日本でも行ったことないです。基本、読書は個人的に楽しむという考えですが、とても楽しかったです。お客さんが多くて熱気があり、この日の詩人 서효인(ソヒョイン)さんが新しく出版した 『여수』から何点か朗読してくれました。読み方が詩に合っていて淡白でリズムがあり、詩の朗読とはこういったものかと勉強になりました。何編か読んで合間に音楽が流れるのですが、ヒョインさん選曲で春らしいアイドルの曲が突然流れたりと、ハードボイルドな男の旅を詠ったあとに、、、これが韓国式のユーモアなのか?と思ったりもしました。
朗読の終わりにヒギョンさんが「このような素晴らしい詩人が私の友人であるということがとても誇らしい」と言っていました。そのコメントまで全て良い朗読会でした。
↑ これは私が行けなかったヒギョンさんの朗読会の告知。デザインが独特で良いです。
木曜朗読会 2000円(アメリカーノ、ハーブティー、生ビールのどれか1杯、9000w以下の詩集1冊)含む。 ネット予約制です。
witと同じ空間のFrente! 右手の書架とその手前にちょっと見える平台、左手に見えるのはレコードです。
Frente!
[フレンテ]
INSTAGRAM: https://www.instagram.com/frente_shop/?hl=ja
フレンテは전지현(チョン・ジヒョン)がマネージャーです。一般書籍を中心に小説、エッセイ、文芸誌など、ジヒョンさんセレクトの本が並びます。そして上の写真のようにセンスの良い小物やレコードも取り扱っています。猫が好きなようで猫グッズが多いですがおしゃれな文房具やブックマークなどもあり、つい本を一緒に買いたくなります。
上記2つの本屋をまとめるようにあるcafe Pastel。上は新村、下は合井です。新村は3階にあり、目の前が駅(2号線じゃない新村駅。お間違えなく)なので光の入り方が美しい。ラテが自慢とのことですが、合井店では世界の瓶ビールが飲めるとかなんとか。
↓ Pastel Schoolが開催しているクラス。近所の花屋と協力して植物を育てるクラスや、
↓ 小説を書くクラスなど様々なクラスを開いています。
初めて行った日に買った本。紫の本は『13月に会いましょう』というなんとも粋なタイトル。あとは絵本とずっとほしかった詩集です。
この写真を見ると、寒いソウルの夜を思い出します。家の目と鼻の先に素敵な本屋空間があり、柔軟に考えれば方法はいくらでもあると思いました。
それからwitの店主であるヒギョンさんのように、見ず知らずの外国人に親切にできるものだろうかと。できることは何でもしてあげる精神。わたしもそんな風にできる懐の深い人にならなければとも感じました。
本を通じて友人ができたことを、本当に嬉しく思います。
次に行く時はわたしはもう留学生ではない。
だけどきっとそこから、また新しく続いていく隣国の友人同士になれる。
お互いに元気で。
またいつでも会いましょう。
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