韓国女性グラフィックデザイナー11
『한국, 여성, 그래픽 디자이너 11』
6699 Press
[韓国、女性、グラフィクデザイナー 11]
↑ カバーはずすとこんな感じ。カバーの白との対比が面白い。この本の「本音」を表現しているのか。
今韓国で活躍中の女性グラフィックデザイナー 11人に、対談というかたちでインタビュー。まだ韓国の労働現場は男社会。その中でもグラフィックデザインの世界はもっと男社会であり、美大などでは女性の生徒の方が多いのに、実際社会で活躍するのは男性ばかり。それを問題視し、実際どうであるか、女性であることによる不便や受けた不平等、理不尽な出来事などリアルな声を聞いていく。
↑ 日本で(笑)とするところは女の子のイラストになっている。一人で笑ったり二人で笑ったり。このイラストのみWORKSのデザイン。書体が面白い。少しポップな明朝。ㄱの内側への入り方に特徴があるのか。まだハングルの書体は勉強中なので詳しく勝たれない。
まずスルギ&サンミという人気の2人組の対談からはじまる。きっと韓国でデザイナー目指す女性達の理想の2人なのではないかと思う。元学校の先生と生徒だ。その次もWORKSというこれも女性2人組で韓国で人気のデザイナーだ。
まだ読んでいる途中だが、同じデザイナーとしてとても興味深く読んでいる。日本は今では女性スターデザイナーが多く活躍し、とくに私もいまは女性であることの不便さはない。しかし15年くらい前までは今の韓国と同じような状況だった。
WORKSの対談の中で面白かったのは、男性デザイナーは個性を求められ、打ち合わせも自由で独創的な服装が好まれるが、女性デザイナーの場合は「できる女」スタイルか女性らしいコンサバティブな服装が求められる。また、女性だけで打ち合わせにいくと「おたくの会社は男性いないの?」と聞かれることもあるという。やはり男女の差がおおきい。就職するさいも女性より男性の方が就職しやすいという。
出版した6699pressは面白い本を出版する。今回のこの本も、最近の韓国の流れでもある「フェミニズム」運動の活発さを見て共感してのことだ。男女差をなくし、女性も正当に市民権を得ましょうということ。
↑ 緑と紫の組み合わせは日本でなかなか見ない色の組み合わせ。紙の断面をみると、白紙にベタ印刷しているのがわかる。
これから韓国の女性グラフィックデザイナーの待遇はどう変わっていくだろうか。とても興味があるし、日本でも参考にできるなにかがあるのではないかと思う。日本もどちらかというと女性より男性のグラフィックデザイナーの方が多い。おそらく女性は結婚して子供が産まれるとどうしても独身の頃のようには働けなくなる。まだまだ残業徹夜休日出勤ができないと稼げない職業のため、どうしても女性は引退するか家で少しづつ仕事をする以外にないのかもしれない。
今日見た記事だが、欧米ではデザイナーの年収は平均600万。日本は300万前後だ。それくらい日本ではデザインを大事にしない。そうなると使い捨ての人材を求めるのは当然で、まだデザイン業界では産休とって同じポジションで同じ給料では戻ってこれないのが現実だ。
韓国ではプラスで働きずらい現実があるのだろう。それでも優秀な女性デザイナーは今日も頑張っているのである。こういったところにスポットライトがあたり、女性の本音が1冊の本になって出版されるのは、日本よりも何かを良くしようという意識が先にあるからだろう。
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