装丁くらべ Vo.1
韓国では日本の作品がとても人気があります。それについて書きたいことがあるのだけど、今日は表紙のデザインの違いを並べて見ようと思います。
これは私の主観ですが、日本は作品の内容(時代背景含む)、作家の雰囲気などを意識して装丁デザインをしますが、韓国はちょっと違うようです。いま韓国ではゆるくてポップなものが流行っているからなのか、どの本の装丁もそういった傾向にあるように見受けられました。(もちろん全部がそうというわけではないですよ)
↑ この本自体わたし知りませんでした。が、左の韓国語版はデザインを全く変えて、最近とても人気のある本です。UU出版社が出版したのですが、ここは文章の書き方などに関する本を中心に出版しています。真ん中のカラフルな図形は原書の木のイラストを図形化したのでしょう。
↑ これは作家と内容を完全に無視した、ポップさ、目立ちやすさ、若者の所有欲をあおることを重視した韓国版のデザインの代表的な例。(悪意こめて書いています 笑) だってこれはちょっとやりすぎではないですか?? おおざっぱに言うと、韓国のイベントのポスターとかだいたいこの方向性です。流行ってます。寺田寅彦氏は戦前の物理学者。どんな文体か青空文庫のリンク貼ります。http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2359_13797.html
これ読んで韓国版のデザインになるのがよくわからないのだけど、何か深い意図があってのことだろうか。とても気になります。
↑ これは私のバイブル『深夜特急』沢木耕太郎 です!! 氏曰く、深夜特急というタイトルは映画『ミッドナイト エクスプレス』からとのこと。映画内でこの言葉が脱獄を意味して使われており、それを日本語にしたもの。な、の、に、である。韓国語版『俺はまだ到着しなかった』(直訳)。なんか理屈っぽくてすごく嫌。人生の途上とでも言いたいのかしら。そのまま深夜特急のほうがよっぽど通じると思うのだけど。文体の雰囲気や作品から読み取れる氏の性格のようなものも考えていただきたかった、、、
↑ 女性が主人公の作品。大学卒業し出版社で働く主人公の都が、酒で失敗しながら一人前になっていくお話のようです。私の先入観ですが、北村薫氏の作品を都と同じ世代に読まれて共感してもらうことを考えると、韓国版の方が手に取りやすいのかもしれないですね。原書はタイトルの都と主人公の名前がかかっているわけですが、韓国語ではそのようなことは難しかったようで、『お酒があればどこでもいい』(直訳)になっています。これ面白そうなので原書読んでみようと思っています。
↑ 米原万里氏の韓国語版シリーズ。本屋によってはセット売りしていました。文庫をひとまわり大きくしたサイズです。セットで見ると揃えたくはなりますが、、、全然内容が表現できていないかなと思いますが、セットで売れるのがきっと第一目標だとこうシリーズデザインになるのだと思います。色の淡さは氏の雰囲気とちょっと違うような気もしますが。でも氏の作品は他にも人気のようで平積みされていました。
↑ 韓国の方が大好きなこれ!!笑 映画も流行ったようです。上が原書です。下左が最初に出版された韓国版。下右は最近リニューアル出版されたもの。翻訳も変わっていないようです。以前、村上春樹『ノルウエイの森』の記事を書いた時にも言いましたが、このように装丁変えて増刷は最近の韓国の売り方のようです。どの装丁が好きですか?ちなみに私は下左を所有しております。タイトルの部分が窓になっています。何か意味があるのか、、、?あ、下左のように反対色や補色同士のグラデーションも韓国の最近の流行です。
↑黒柳徹子さんの作品の韓国版。タイトル変わっていて、探そうと思えば探せるのだけど、全然全く表紙違うし、これだと黒柳徹子さんの本だというのが全然わからないですね。日本で広く知られている人の幼少時代の体験などが綴られた作品が多いのだけれど、「あの黒柳さんが?!」だからへぇ!だったり共感だったりできるわけで、彼女のあの感じがわからないと、面白さ半減なのではないかと思うのだけどどうなのだろうか。綺麗な装丁ですけどね^^
↑ これ、左は『東京のカフェ』。その名の通り東京のカフェを紹介する韓国の方が書いたカフェガイド本。右は全然違う本ですが、アヒルストアという渋谷のワインとパンのお店について書かれた本。出版はアヒルストアが先です。が、すっごくデザインにていませんか??????写真の撮り方も似てしまっている、、、
(写真:インスタグラムより拝借)
↑ 左は新潮文庫。右は最近刊行され始めた、韓国の文庫シリーズ。もともと韓国には日本の文庫サイズのように小さい本はありませんでしたが、文庫版作りはじめたようです。(もっと小さいサイズシリーズは1種あります)サイズも日本のものと全く一緒。新しく作るのだからデザインももっと変えたらいのにと思います。ここまで似せなくても、、、私は李箱 作家の『翼』(写真のもの)を買いました。もう読んだことがあるのですが、韓国での日本スタイル文庫版の初出版を記念して。このような言い方すると怒られちゃうかしらん。
韓国は、日本でそんなに人気のない本をよく見つけてきて翻訳出版しているなと思います。本だけに関わらず「見る目」がある。お恥ずかしながら、韓国の本屋で初めてであった日本の作品も多かったです。日本版とかなり装丁が変わっていたりするので、なかなかわかりずらかったりするのですが。
また別でも書くと思いますが、シンプル・イラスト・余白・又はカラフル&モダン が、今の韓国の流行デザイン。雰囲気重視とも言えます。なので表紙に入る情報は少ない。そのかわり裏表紙(表4)にあらすじとか、書評が文章でがっつり入っているという、、、(泣
日本と大きく違うのは、何かが流行るとほとんどそれ一色になる傾向にあります。ちょっと残念な傾向です。センス良い人とっっっっっっても多いのに、求められるものが一辺倒なんだろうなと。
韓国は良いデザイン多いです。センス良い。あと特殊加工も好きみたいです。本屋で表紙ながめているだけで、とても勉強になります。「見る目」含め見習いたいです^^
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